カラー診断や骨格診断を受けても、似合う服が見つからない理由
こんにちは、杉田です。
ここ数年カルチャーセンターでカラー診断や骨格診断の講座をやらせていただています。
「似合う服の選び方」というタイトルの講座はわずか3名しか集まりませんでしたが、こちらはキャンセル待ちが出たり、クラスを増設するほどの人が集まってくれたんですね。
カラーや骨格診断にここまでの人気があるのかと、正直驚いています。
ただこの診断でおしゃれが上手になるかというと、なかなか難しいというのが本音です。
似合うかどうかは、あなたが「しっくりくるか」というところが大きい
まず気になるのは、似合うかどうかをいったい誰の視点で見るのかというところです。
私は「着ていて心地良いこと」が服を着る上で一番大事なことだと思っています。
つまり、自分がしっくりきている状態がベストだと考えています。
よくある質問に、好きな服と似合う服が違うけど、どうしたらよいか?というのがありますが、そんなにバッサリ切り分けてしまうのはもったいないと思うんですね。
ファッションは組合せで作っていくもの。
そして、服も色だけで構成されているわけではなく、素材や形、デザインを含みます。
これらをかけ合わせて作っていくので、はっきり二極化できるものではないんです。
だから、好きな服を似合うように着るのが一番いい。
嫌いな服も組合せ次第で好きになるかもしれないし、好きで似合う服だってあるはずです。
まぁ、そこに辿りつくには時間と手間はかかりますが・・
もし気持ちと診断のどちらを優先するかと聞かれれば、迷いなく私は「気持ち」だと答えます。
というより、天秤にかけるものではないんですね。
診断というのはあくまでテクニックとして使うためのツールなので、「気持ち」と同じ土俵にはないからなんです。
客観的に似合うだけを追求していくと、気持ちにムリが生じる
最初はどうかなーと思っても、周りの人に褒められて気持ちがアガって、その服が好きになる。という流れはたしかにあります。
だから、とりあえず挑戦してみるというのはいいことだと思うんですね。
でも、自分らしくないと思う服をムリに好きになれと言われても、限界があります。
以前テレビで、ビフォーアフターの変身企画をやらせていただいたことがあります。
テレビ局によってやり方が違って、ひとつは写真を見て事前に服を用意してから着ていただく企画。もうひとつは事前にある程度の目途はつけておくものの、実際にお会いしてヒアリングをしてから選ばせていただく企画です。
どちらの服がモデルさん(一般の方です)の笑顔を引き出せたかと言えば
・・
当然後者なわけです。
事前に用意された服を着たモデルさんは、こんなの自分じゃないという感じで肩を落としていました。でも、周りのスタッフさんたちは「似合う!」と感激していたし、私も客観的には似合うと思いましたが、実際にお話してみるとやっぱり本人と着ている服が結びつかないんですね。
2つの柱で考えることが大事・・1つめの柱
そもそも、診断というのは外見的特徴のみから判断するものです。
ですが私たちはマネキンではないので、性格も違えば、環境も、考え方もそれぞれ違いますよね。
だからファッションを考える時は、あなたという人を中と外の両方からみていくといいんです。
中からというのは、3つに分けて考えると分かりやすい。
- ライフスタイル
- 好み
- 性格
その服は自分の生活の中で着る時があるのか。
単純に好きかどうか。
私らしいか。
もっと簡単にするなら、
その服を着て生活している(笑顔の)あなたが想像できればOKだと思います。
ここでは、全体の方向性を決められたらOKなんですね。
方向性というのはテーマのことです。
ちょっと話を戻して、
先ほどのモデルさんが肩を落としてしまったビフォーアフターを例にとると・・
この時の企画は「春の大人のエレガンスファッション」というテーマだったんですね。
選んでいた洋服は、色合いがラベンダーやオフホワイトなどの春らしいパステルカラーで、レースを使って上品に仕上げていました。
一方モデルさんから話を伺うと、普段はカジュアルなファッションが多く、黒を好んで着ていたり、パンツスタイルが多いんですね。
エレガンス路線よりもアクティブでクールなファッションが好みだったわけです。
ということは、そもそもテーマとモデルさんにマッチしていないわけです。
もし企画のテーマが「大人のかっこいいカジュアルファッション」だったら・・
結果は違っていたと思います。
テーマの決め方はクール?キュート?みたいな感じでも良いし、もっと具体的な感じでもいいです。
例えば、歌舞伎を見るのが好きだから、その空間を臆さず楽しめるような、その場にふさわしいイメージでいたいとか。
好み重視か、性格重視か、具体性重視か。
どういう風にテーマを決めるかは好みなので、あなたが思い描けるたものを優先的にテーマに掲げればいいと思います。
中と外から考える。2つめの柱は外見
そして外見から考えるときには、カラーや骨格診断が役に立ちます。
全体シルエットや素材の選び方、細かいディティールや色合いが診断で分かるからなんですね。
もちろん、診断の活かし方は人それぞれ違いますし、あえて診断とは真逆を行くというレアケースもありますが、最初は診断をそのまま取り入れてみて、違和感を感じたら部分的に違うやり方を試すというのがよいと思います。
どういうことかというと、診断結果で得た似合う素材や色、ディティールなどをそれぞれ独立させて考えるということです。
んー、これでもわかりにくいですね。
では、さっきのモデルさんを例に出して考えてみます。
彼女のテーマが「大人のかっこいいカジュアルファッション」だと仮定しますね。
ややこしくなるので、ここでは色だけで例にとると・・
モデルさんの診断結果が夏(似合う色がパステル系)だったという場合。
- まず1つめの案としては・・
パステル色は甘い印象になりがちなので、あえて色は使わずにグレー+白のような明るめのモノトーンにするという考え方。 - もう少し甘くても大丈夫な場合は・・
パステル色の中でも、ピンクではなく寒色のブルーを使うことで、少し甘さを取ることもできるんですね。 - 仮にパステルブルー×オフホワイトという組合せにする場合は・・
トップスとボトムの色を逆にしても雰囲気が変わります。上にブルーがくる場合、顔周りにくる印象が強くなるので甘い雰囲気は強くなります。
こんな風に活かし方は無限大なんですね。
テーマありきで、そのテーマに合わせて似合う部品を組合わせていくイメージでしょうか。
つまり診断結果の立ち位置というのは、テーマに合わせたファッションを自分に似合わせるためのテクニックなんですね。
禁止の罠
診断結果の使い方、なんとなくでも伝わったでしょうか?
診断結果を間違った方向に理解してしまうと悲しい結末に陥ることもあるんです。
お客さまの中にもいらっしゃるのですが、
似合わない色や形を意識するあまり、禁止事項が沢山できてしまうんですね。
次第にNGが多すぎて、ワンパターンな服しか着れなくなってしまった!!ということも。
ハイネックがNG、ワイドパンツはNG・・とか。
嫌いならいいんですが、そうでないならもったいないと思うんですね。
苦手な形や素材というのはありますが、もしかしたらという可能性もありますし。
診断を受けるなら、
NGの服をあぶり出すために診断を受けるというスタンスではなく、その結果をどう活かすかというスタンスで受けるのがオススメです^^
今日もブログにいらしていただきありがとうございます。
お客さまにスタイリングさせていただく時は、この無数の組合せの中から何が似合うのかを探っているんです。